「身体はトラウマを記憶する」 その1

最近、とても魅力的な本に出逢いました。題名は「身体はトラウマを記憶する」です。

脳・心・身体のつながりと回復のための手法 紀伊国屋書店  著者:ベッセル・ヴァン・デア・コーク

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世界的第一人者が、トラウマによる脳の改革のメカニズムを解き明かし、薬物療法の限界とEMDR,ニューロフィードバック、内的家庭システム療法、PBSP療法、ヨーガ、演劇など、身体思考の様々な療法の効果を紹介する、全米ベストセラー。

~ 本のプロローグより~

私達人間は、きわめて回復力に富む種だ。太古の昔以来、残忍な戦争や、数え切れぬほど多くの災難、各自の人生で経験する暴力や裏切りから立ち直ってきた。

とはいえ、トラウマ体験は必ず痕跡を残す。それは、歴史や文化に影響の及ぶ大規模なものもあれば、もっと身近で、私たちの家族に影を落とすこともあり、その場合には、暗い秘密が代々ひっそりと伝わっていたりする。トラウマ体験はまた、私達の心や情動、喜んだり親密な関係を結んだりする能力、さらには、生物学的作用や免疫系にまで痕跡を残す。

トラウマは、直接それを体験した人ばかりでなく、その周囲の人にも影響を与える。戦闘から帰還した兵士は、逆上したり、感情が欠落していたりして、家族を怖がらせかねない。心的外傷後ストレス障害(PTSD)の夫を持つ女性は抑うつ状態になりやすく、抑うつ状態の女性の子供は、自信がなく不安な気持ちで成長する危険がある。子供のころに家庭内暴力を目の当たりにすると、大人になった時に信頼に満ちた安定した人間関係を築くのが難しくなることが多い。

~中略~

新たに三つの化学分野が誕生したおかげで、トラウマと虐待とネグレクト(教育放棄)の影響についての知識が爆発的に増えた。その三つの分野とは、脳が精神機能をどう支えているかを研究する神経科学、心と脳の発達に対する有害な経験の影響を研究する発達精神病理学、私達の行動が周囲の人々の情動と生物学的作用と物の見方にどう影響するかを研究する対人間係精神生物学だ。

 これらの新しい分野における研究で明らかになったのだが、トラウマは現に生理的な変化を引き起こす。

たとえば、脳の警報システムが再調整されたり、ストレスホルモンの活動が増したり、情報をふるいにかけて、関係ないものを捨て、関係あるものを残すシステムが改変されたりする。生きているという身体的な感覚、体を通して感じたり表現したりする感覚を伝達する脳の領域をトラウマが損なうことも、今ではわかっている。

トラウマを負った人が脅威を過剰に警戒し、自然な日常生活が送れなくなる理由も、こうした変化で説明がつく。

また、トラウマを負った人がなぜあれほど頻繁に同じ問題行動を繰り返し、経験から学習するのに苦労をするのかも、これで理解しやすくなる。彼らの行動は、道徳的な欠陥のせいでもなければ、意思の弱さや性格の悪さの表れでもなく、脳内で実際に起こった変化に起因することが、今では知られている。

                                       ~以上~

~解説の試みより~   浜松医科大学児童青年期精神医学講座 杉山登志郎氏

本書を通して私は、被虐待児とその親の臨床の中で疑問を感じつつそのままになっていた問題や、断片的な理解のままになっていた問題のほぼすべてに、明確な回答が得られ、視野が何倍にも広がったような体験をした。

本書では、日本でも、トラウマに向き合わざるを得ない人、少年非行や少年犯罪、薬物中毒、性被害、性加害、

社会的養護、里親・里子、貧困、すべての精神疾患、怠学、不登校に関わる人々、つまり学校教師、ソーシャルワーカー、児童養護施設や児童自立支援施設で働く人、精神科医、臨床心理士、弁護士、裁判官、警察官、検察官、そして政治家。まさに私達の社会は今、トラウマを強く意識しなくては何もできない時代を迎えようとしているのである。

                                      ~以上~

不可能とも思われたトラウマの後遺症からの回復を可能にする様々な方法が、実証を伴った研究によって今日の到達点として描かれています。

是非とも多くの方に読んでい頂きたい本です。トラウマは、負の連鎖を繰り返します。人類がトラウマから解放された時、初めて黄金期を迎えるのではないかと思います。

 

本では、ニューロフィードバックバックのことも取り上げられていました。

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上の写真は、アメリカの個人病院で10歳の少年がニューロフィードバックのセッションの前後に描いた家族の肖像です。

少年は、酷い癇癪もちで、学習障害と自己管理の全般的問題があり、学校は対処しかねていた。

セッションを受ける前の絵は、三歳児の発達水準に相当するものが、5週間もしないうちに20回のセッションを受けた時の絵が中央部の絵です。そのころ、癇癪を起す回数は減少しました。10週間経ちさらに20回のセッションの後の絵は、最下段の絵です。絵は緻密さが飛躍的に増し、行動は正常になりました。

 

BSTとニューロフィードバックと類似していますが違うものです。専門的な事になりますが、データの解析度、フィードバックの時間、オープンループなのかクローズドループなのか?オペラント条件付けなのか?  技術的な関心がある方はお問い合わせ下さい。 

 

最後に、数年前にソラ・シノノメで4歳児の男の子がセッションを受けた時に、絵を描いてもらった時の写真をご覧ください。

上から、セッション1回目、セッション8回目、セッション13回目の後で、あえて、何も言わずに自由に絵を描いてもらった時の絵です。色彩感覚、表現力の違いは一目瞭然です。(セッション1回目から13回目までの期間は4週間)

セッション 1回目.jpgセッション 8回目.jpgセッション13回目.jpgトラウマは誰でも、多かれ少なかれ持っているものですが、意外と根が深いものがあります。

一人で悩まずに、お問い合わせください。気持ちは楽になり、きっと、物事はうまくいきますよ!

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